嘘発見器の発明
1921年、アメリカ・フォーダム大学のウィリアム・マーズトン教授は、嘘は血圧に影響するという理論を発表しました。
これを読んだカリフォルニア州警察本部長のオーガスト・ヴォルマーは、血圧測定器を利用した嘘発見器を作らせました。彼自らが実験台となって実験したところ、この器械は小さな動揺にも反応し、嘘を見破ったといいます。これが嘘発見器第1号の、ハイドロフィグモグラフです。
どんな嘘でも見破る機械が発明されたと宣伝されたため、当時の地元の犯罪者たちは、この装置を見ただけで、耐え切れずに自白したそうです。
その後、器械は改良され、血圧のほか脈拍や呼吸速度、発汗量も同時に測定できるようにした、カーディオ・ニュモ・サイコグラムが使われるようになりました。
ところが、この器械にも限界あることが明らかになります。長時間尋問され続けると、血圧や脈拍を左右するアドレナリンの分泌されなくなり、露骨な嘘をついていても、反応を示さなくなったのです。そのため、この機械を使うのは1回3分までと決められました。
そして、また全くのポーカーフェイスで嘘発見器をも出し抜く者、小心者で、無実なのにクロと出てしまうものがいることも明らかになり、そうした問題点を解決しつつ、現在では、さらに精度の高いポリグラフ、というものが使われています。
ポリグラフを発明したレナード・キーラーは、嘘発見器によって無実を証明する組織を設立しました。そのため、当初は積極的に嘘を見破るためではなく、むしろ身の潔白を証明したい議員や容疑者が判定の依頼に殺到したそうです。
現代では、証拠収集能力やテクノロジーが向上したため、人間の証言だけに頼らずとも、多角的な捜査が可能となりました。とにかく、悪い事をしたらバレるという時代になってしまったわけですね。