「猫まんま」はどんな食べ物?
昔は、ペット専用の缶詰などが充実していたわけではないので、猫のエサは飼い主のご飯の残り物と相場が決まっていました。
普通に、焼き魚の骨や煮干しを与える場合もありますが、いつでも食卓に並ぶ米や味噌汁は、一番簡易な餌として猫の前に置かれたのです。
「まんま」とは「めし」の幼児語であり、猫にあげるメシのようだという意味から「ねこまんま」という言葉が生まれました。
一般的には、削り節や塩昆布を白飯にかけて醤油を垂らしたものや、残り物の冷や飯に味噌汁をぶっかけたものが有名です。
本来、肉食動物である猫や犬に炭水化物である米をそのまま与える行為は、世界的に見ても珍しく、(良い悪いは別にして)日本独自の飼育方法と言えそうです。
現在では栄養価の高いペットフードや、健康に良い餌の与え方に関する情報が増えたため、猫に「ねこまんま」を食べさせる光景は見られなくなりました。
ねこまんまは、昔から庶民に限らず、著名人や裕福層にも食されていました。戦時下や貧困期には飢えを凌ぐための主食にもなりました。
一方、ある集団や地方の文脈では、縁起の悪い食べ物としてタブー視されることがあります。また、公衆の門前ではマナーが悪い食べ方とされるので、ねこまんまを実行するのは、もっぱら家で一人でいる時に限られるでしょう。
ちなみに、現代で猫に「ねこまんま」を食べさせることは、消化器官の負担や塩分バランスを鑑みて、推奨されません。あくまで、一人の夜食などに嗜む方が良いでしょう。