コブラ踊りの秘密

インドの見世物の一つに「コブラ踊り」があります。頭にターバンを巻いた蛇使いが笛を吹き、それに合わせてコブラが鎌首をもたげて踊るというものです。

いかにもコブラは音楽が好きで踊っているように見えるのですが、これは人間の勝手な妄想なのです。なぜなら、蛇には耳がなく、音が聞こえるわけがないからです。

では、コブラはなぜ踊っているように見えるのでしょうか。なぜかと言えば、蛇は地面を伝わる振動に非常に敏感なので、この習性が利用されているのです。

蛇使いは、笛を吹きながらカゴを叩いたり、地面を踏み鳴らして、コブラに振動を伝えます。コブラが興奮して鎌首をもたげてカゴから出てくると、蛇使いは、体を左右にゆり動かします。

こうすることで、コブラは怒って蛇使いに飛び掛ろうとし、左右に動き出すのです。だから、コブラは音楽に合わせて踊っているわけではなく、敵を襲おうとしてタイミングを見計らっているのです。

蛇使いが使うコブラは決まっており、インドコブラと言われる品種です。首の下に広がる部位に眼鏡のような模様があるので、メガネコブラとも呼ばれています。あの首の下の広がる部分は肋骨が長く付いたもので、怒ると大きく広げて敵を威嚇します。