味の素の「味」

味覚には甘味、酸味、塩味、苦味、辛味などがあります。

しかし、辛味は刺激であり味覚ではありません。それよりも「うま味」が味覚としての要素に相応しいとして、生理学的に甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つが味の「五基本味」に位置づけられました。

「味の素」の考案者で東大教授の池田菊苗博士は、昆布だしのお吸い物がなぜ美味しいのか子供に問われて昆布の分析を始めました。

その結果、昆布に含まれるグルタミン酸ナトリウムという物質がうま味の素だと分かり、その特許を利用して「味の素」が発売されました。

1908年から1909年の出来事です。うま味が味覚として認められたのは1990年代に入ってから。味覚には個人差があり心理的な面も影響することから、科学的に実証されるには時間がかかったようです。

味の素の「味」はおよそ百年も早い発見の味でした。

こんな逸話があります。

発売当初、売り上げが今ひとつ伸びなかった頃、業績アップのために粉末の出る穴を大きくして、一振りでたくさんの量がでるように改良した。結果、消費量が増えて売り上げが伸びヒット商品になった。

これは都市伝説であり、公式では否定されています。真相は、消費者が味噌汁に振りかけようとした祭に湿気で目詰まりをおこしたため、苦情をよせたらそれが採用された、ということだそうです。これもまた都市伝説みたいな話ですね。

ちなみに、味の素(化学調味料)は体に悪いから食べるなという噂が流れましたが、これも科学的に否定されています。どんな食材でも一度に大量に摂取すれば体に悪いです。

現在、化学調味料という言葉は使われなくなりました。一般には「うま味調味料」という言葉が採用されています。