マツタケはどうしてあんなに高いのか
松茸(マツタケ)は、秋を代表する高級食材として人気があります。
しかし、このマツタケ、どうしてあんなに高いのでしょうか?
庶民ならではの感覚として、季節物の食材を安く手に入れて気軽に食べたいと考えてしまいます。
第一に、マツタケは人工栽培が極めて難しく、大量生産が出来ない事があげられます。アカマツの林齢、斜面や尾根の向き、日当たり、土壌微生物の量、立木密度、腐植層の量、アカマツの細根の密度、母岩の種類などに加え、雨量、気温、湿度などの天候が奇跡的に一定の条件を満たした場合に限り、マツタケが地表に姿を現すのです。
そしてマツタケは、他のキノコのように地表から顔を出して傘が開ききってしまえば、味や香りが落ちてしまう食材です。そのため、地面からわずか数センチ顔を出した物を見つけなければならず、人の目で探すのは困難です。
マツタケは主にアカマツの林に育ち、マツタケの菌糸がマツの細い根に入り込み、菌根を作ることで成長します。この時マツの根が地面の下10cmほどの浅い所になくてはならなず、大量に育つことがありません。
枯れ枝や落ち葉、マツボックリなどが落ちて腐葉土になると、栄養豊富な土地には競合となる菌が繁殖するので、マツタケは生存競争に負けてしまうそうです。つまり、土地のやせたところにしか、マツタケは生えません。
かつて日本には、マツタケの採れる場所がいっぱいあったそうですが、そのような土地が減った理由の一つに土壌の富栄養化があるとは、なんだか意外です。もちろん、開発やマツクイムシの被害が主な原因ですが。
マツタケが高価なのは、育ちにくさと探しにくさが要因です。欲しい人の需要に対して供給量が減っていけば、もっと値段は上がるでしょう。