トイレットペーパーのない時代

紙が比較的自由に庶民の手に入るようになったのは、江戸時代の後半だと言われています。

トイレットペーパー以前の尻ぬぐい方法としては、ピンと張った縄をまたいで歩く、適当な形状の小石を見つけて始末する、川や池のそばで用を足し手で洗う、などがありましたが、最も一般的だったのは木や竹で作った平棒でこそぎ取る方法だったようです。

この棒は「籌木(ちゅうぎ)」という木片で、俗称「クソベラ」と呼ばれました。その使い方は「正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)」という仏教の本の中で、僧侶がトイレ内作法を説明するくだりに詳しく書かれています。

今では用を足したあとにトイレットペーパーを使う方法が一般的ですが、特に日本はウォシュレットが普及しているので、お尻を直接水で洗う習慣も定着しています。

その昔、江戸っ子がサッパリした気分を表すのに「大川でケツを洗ったようだ」と言ったそうですが、衛生上にも水やお湯で洗い流すのが一番良い方法のようです。