切腹の介錯人の心得とは

切腹に介錯が必要とされたのは江戸時代。それ以前は作法が確立していなかったため、苦痛を極める方法が横行していました。

介錯人とは、切腹した人の首をはねる担当のこと。通常、介錯は2人、あるいは3人で行ったそうです。

切腹と聞くと無謀な自害のように聞こえますが、最終的には刑罰の中でも名誉回復の意味が込められた儀式のようなものになりました。

介錯人はあくまで補助役ですが、そこにはいくつかの心得があります。

まず第一に、大切なのは首の骨と骨の間を切るということ。骨自体はとても固く刀で切れたものではなく、刃をはじき返すほどの強度を持っているといいます。

次に大切なのは、首の皮を一枚残して切ること。すると切られた首が飛んでいってしまわずに、前に掘ってある穴にうまく転がって入り込むというわけです。

切腹人が腹を真一文字にかっさばいた直後に、介錯人は首を一振りで斬り落とすのが理想的です。しかし江戸時代も長く続くと、切腹するほどの根性のある者は少なくなり、腹に刃を突き立てた瞬間に首を切るのが通例となりました。中には、それさえもできずに竹光を腹に当てる格好だけする場合もあったとか。

なんと、この方法は明治に入ってからも残されていました。廃止されたのは、1873年(明治6年)のことです。