「おみおつけ」と「おみそしる」

突然ですが、「おみおつけ」を漢字で書いてみてください。

「おみおつけ」は味噌汁を丁寧に言い表した言葉です。これがヒント。

それを漢字で書くと、まさかの「御御御付」となります。

膳の飯につけて出す汁物を表す「付け」の前に、みっつも「御」がついています。ずいぶんと丁寧な言い回しです。

実はこの書き方、一種の言葉遊びなのです。「おみおつけ」の「おみ」は味噌を表す言葉です。先程の「つけ」が汁物を表す言葉として、それを合わせると、「御味噌付け」となります。つまり言葉の上では「お味噌汁」と同じです。

果たして「おみおつけ」と「おみそしる」に、違いはあるのでしょうか。

おみおつけには、「汁の上に実があり、それを食べる」という意味があります。つまり、汁の上にはみ出すほど沢山の具が入っている物を示しています。

その当時、味噌は貴重な調味料でした。具材となる食料も贅沢に扱うのは難しく、それが山盛りになっている様は、まさに「御」をみっつ付けたくなるほど。

一方の味噌汁は、おみおつけほど具の入っていない汁物を指します。昆布やかつおなどで取った出汁(ダシ)に味噌を溶き、豆腐や油揚げを入れた物です。

つまり、「おみおつけ」は「おみそしる」の豪華版。具材が沢山入った味噌汁ということです。

たまに、お吸い物と勘違いしてしまいそうになりますが、あれは出汁に醤油や塩を加えた透明の液体です。そして、厳密には味噌汁もお吸い物の一種とみなされます。