左利きの人のテーブルマナー

高級レストランなどで食事する祭、テーブルマナーを知っていないと恥をかいてしまうことがあります。ここで気になるのは、右利きの人と左利きの人で、違いはあるのかという点です。

基本的にテーブルマナーは、右利きの人のためにセットされています。左利きの人が得をする箇所と言えば、フォークが左側にあることくらいでしょうか。

しかし、ナイフは右側なので利き腕とは反対で使用することになります。マナー通りに切りにくい時もありますが、かといって左手でナイフを使うのはマナー違反、のような気がします。

西洋料理に限らず日本の「お茶」の世界も、左利きの作法はありません。お茶を点てる所作は必ず右手ですし、ひしゃくを扱うものも、茶筅を振るのも、みな右手を使います。

会食のとき、向かい側に座った人が左手で箸を使っているのを見ると違和感を感じるのは、マナーに反するという後天的な心理が働くからでしょうか。

人間がまだ類人猿だったころ、大部分は右利きだったという報告もあります。発掘された堆積物から、左側を強打されたとみられる動物の頭蓋骨がたくさん発見できたそうです。お互いに相対して殴り合ったとすれば、そうなりますよね。

このように歴史的な考察から、人類は基本的に右利きが自然だと考えられます。

では、左利きは一体どうすればよいのでしょうか。マナーを守らなくても問題ない場所へ行く。それも一つの正解です。ある有名な茶道家は、両手利きに練習すれば良いと説きました。左利きも握手は右手でするではないか、というわけです。

有名どころではアレキサンダー大王、ネルソン提督、キング・ジョージ4世、ベーブ・ルースなどは、みな左利きだったといいます。現代では多様性の許容も広がり、右利きに矯正されることも少なくなりました。

それでも、市販されている道具は右利きを想定した物が多いですし、右利きを前提としたルールが暗黙のうちに定着しているのも実情です。

左利きの人は、そんな生活に「慣れていく」しかありません。ちょっとしたマナー違反や勘違いなら多めに見てあげましょう。