ゴキブリは洗剤に弱かった

私たちの身近に生息する生き物の中で、嫌いな生物のワースト上位に必ず入るゴキブリ。

この輩を撃退するために数多くの専用商品が販売されていますが、家庭の日用品で代用できる場合があることをご存知でしょうか。

台所で使っている、ごく一般的な中性洗剤を、ちょっとかけてみてください。一瞬で動かなくなってしまう様子を見ることができます。

この中性洗剤の中に、強力な殺虫剤にも負けない毒素でも含まれているのでしょうか?

中性洗剤とは、高級アルコール硫酸塩を主成分とした台所洗剤の総称です。

開発当時、石鹸に変わる新洗剤ということで大きな話題を集めました。河川などの環境汚染の問題で、一時期悪者にもされたりしましたが、毒性とは無関係です。

それでは、なぜ強力な殺虫剤でもなかなか効かないゴキブリが、中性洗剤であっという間に動かなくなってしまうのでしょうか。

ゴキブリの羽は、水をはじく油のような物質で覆われています。そのため、殺虫剤などを噴射してもなかなか効いてくれません。そのコーティングは、高級アルコール硫酸塩によって溶解するため、水分をはじくことが出来なくなります。結果、ゴキブリを保護していた結界が無くなり、体全体に中性洗剤が染み渡り、体の表面にある気管がふさがれてしまうのです。

つまり、ゴキブリに中性洗剤をかけると死んでしまうことの直接の要因は、中性洗剤の毒素のせいではなく、呼吸困難による窒息死なのです。