ひょんなことの「ひょん」て何?

「ひょんなこと」という言葉には、「意外で奇妙なこと」「とんでもないこと」という意味があります。

この「ひょん」という響き、他の単語ではまず聞かないですよね。軽妙な語感が楽しいので、何かの音ではないかと思われがちですが、どうやら違うようなのです。

現在、これには二つの有力な説があります。

一つは、なんのヒネリもなく「ヒョン」という植物の名前から来ているという説。

柞の木(イスノキ)という植物があり、それを別名「ヒョンノキ」と言うので、この木にできる実が、卵形をしていて、毛が密生し、他にあまり類のない姿をしていることから、意外で奇妙な様子を指して「ひょんな」と言うようになったというものです。

もう一つは、漢字の「凶」に由来するという説。

江戸時代の学者、新井白石は「同文通考」の中で、「ものの良からざることをヒョンというが、それは『凶』という字の中国語読み(唐音)のヒョンからきている」と述べています。つまり「ひょん」とは良くないことを表しているというのです。

上記のうち、有力なのは後者の方だと言われています。

ところで、イスノキの説明に戻ると興味深い記述を発見できます。「ヒョンの実」の実態は、葉にアブラムシが寄生することによって膨らんだ「虫こぶ」だそうです。

この虫こぶ自体は、色々な植物に起こる現象なので特に珍しいことではありませんが、大きくなった虫こぶに穴が開いた時に、そこを吹くと笛のような音が鳴るので「ヒョンの木」と呼ばれるようになったそうなんです。

仮に「ひょん」の由来が「ヒョンの木」だとすると、そのまた由来は音ということになります。すると最初に否定した説も、あながち間違いではないということになりますよね。

あなたは、どちらの説を信じますか?