雨のシーンはやっぱり大変?

映画やドラマでは、雰囲気に合わせて気象を作り出します。その中でも代表的なのが雨のシーンです。

今ではCGで合成する手段もクオリティが上がってきていますが、「本物」にこだわる監督は少なくありません。

本物といっても、天から雨が降ってくるのを待つわけではありません。道具や仕掛けを使って本物っぽい雨を作り出すのです。

セットで撮影する場合、穴のあいたパイプを何本も吊り下げて降らせたりします。ロケやオープンセットの場合は、ホースの先を空に向けて擬似的に雨を降らせることもあります。土砂降りの演出は、カメラの位置と役者の立ち位置の間に大量の水を振らせたりします。霧雨は大型の噴霧器や送風機を使います。

簡単なように思えますが、雨にも微妙な表情が要求されるため、現場や職人によって色々な手法があります。

かつて黒澤明は画面に迫力を出すために、墨汁で色をつけた雨を降らせました。

雨は単なる現象ではなく、登場人物の心象や物語の状況を象徴するものです。雨のシーンはお金もかかるし大変ですが、それだけ意味を持たせたいシーンです。次に映画を観る祭は、気をつけてそのあたりを観てみましょう。

ちなみに本物の雨が降っている時は、ほとんど撮影中止になるそうです。高価な撮影機材や照明器具を濡らしてしまいますし、雨の量が変わったり急に晴れたりしたら、撮り直しができないですからね。