酢で本当に軟体になるの?
「体が硬い人は酢を飲め」って言葉、よく聞きますよね。この俗説、昔から多くの人に信じられています。
江戸川乱歩の「孤島の鬼」の中にも、「サーカス団員や曲芸師は子供の頃から酢を飲んで、身体を骨から柔らかくしている……」という記述があるぐらいです。
ところが、この話には医学的な根拠はない、と聞くと驚きますか?
たしかに、酢を摂取すると血行が良くなり、体の各器官の働きが良くなります。酢に含まれる酢酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸などの有機酸は自律神経を刺激して血行をよくします。
これらには体内に蓄積された乳酸を分解する、つまり肩こりや疲労の回復に役立ちます。その結果として、体の柔軟性は少しぐらいは増すかもしれませんが。
そもそも、どうしてそんな俗信ができたのか、という部分についてはハッキリしないのですが、例えば魚の南蛮漬けなんかは、酢に漬けて魚の骨を柔らかくする。ここからそういうふうに信じられるようになった、というのはあくまでも推測の域を越えません……。