リゾートバイト(後日談)

リゾートバイト(19)を読む

夏が終わってからの俺たちは、代わり映えのない生活に戻った。

「もう二度とあの場所へは行かない」

それが3人で集まった時の口癖だ。

ひと夏の恋どころかトラウマを抱えるだけで終わった。

ちなみにBは、蜘蛛を見ると怖がるようになった。

俺は社会人になってからも、時々あの出来事を思い出す。

喉元過ぎれば熱さを忘れると言うが、ようやく冷静に語れるようになった気がする。

そういえば、後に合流するはずだった2人の友人に事のあらましを説明したことがあった。

全て聞いた2人は、まるで怪談話を半信半疑で聞いているような顔をしていた。

後日その2人に会うと、なんと興味半分で旅館に電話をかけたらしい。最低だと思った。

ただし、電話に出たのは普通のおばさんの声だったというのだ。

そしてその2人は、あろうことか俺たち3人に女将さんの声かどうか確認しろ、と言った。

そんなこと出来るはずがない。女将さんが無事でも無事じゃなくても、俺にはそれを知る勇気はない。

 

▼伏線が解るとより怖い▼
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暗闇から見つめる視線

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