警察・刑事の業界用語まとめ一覧

警察官や刑事の世界で使われている業界用語・専門用語の一部を紹介します。時代とともに変化していったものや、現在では使われなくなってしまった言葉も含まれますが、一種の雑学としてお楽しみください。

あ〜お行

相勤(あいきん)
パトカー乗務時の相方。
アイちゃん
スリを表す隠語。かつてスリが相手屋師と呼ばれていたことから。
青写真(あおじゃしん)
犯人が思い描いているであろう計画の全貌。
青鬼(アオオニ)
水死体のこと。入水や水難事故に遭った遺体は、死後から時間が経つにつれ水ぶくれとなり、特殊な外見に変貌するため。
青札(あおふだ)
交通違反の青切符。道路交通法のうち、比較的軽微なものに対して交付される書類。正式名称は「交通反則告知書」。期限までに反則金を納付すれば刑罰が科されないという取り決めになっている。
赤犬(アカイヌ)
火事のこと。または放火、放火犯のこと。
赤馬(アカウマ)
火事のこと。または放火、放火犯のこと。
赤鬼(アカオニ)
腐乱死体のこと。死後から時間が経って変質した遺体。
アカサギ
結婚詐欺、または結婚詐欺師。
赤猫(アカネコ)
放火犯のこと。または連続放火魔を指す場合もある。
赤札(あかふだ)
交通違反の赤切符。道路交通法のうち、重い違反を犯した者に対して交付される書類。正式名称は「道路交通法違反事件迅速処理のための共用書式」。これを交付された場合、反則金ではなく罰金刑の対象となり、期日までに出頭しなければならない。
挙げる(あげる)
犯人を逮捕すること。または被害者から金品を取りあげること。
足(あし)
犯人の足取り。
当てる
被疑者の供述を、被害者や目撃者、場合によっては共犯者に伝えて、その真偽を確認すること。主に犯人が言っている嘘を暴くために行う。
後足(あとあし)
犯人の犯行後の行動。
アヒル
制服警察官の巡査を表す隠語。国によっては「スズメ」などと言い換えられる。ただし、警官に対して直接言うと怒られるので、使ってはいけない。
洗う(あらう)
事件の捜査に必要なことを詳しく調べること。被疑者の身元や経歴を明らかにすること。
アリバイ
現場不在証明。犯罪の容疑がかけられた場合に、犯行に関わっていないことを証明するための事実や情報。例えば、犯行予想時刻に、その場所にいなかった事を証明するために、別の場所にいたことを証明することで、無実を主張する。
安協(あんきょう)
交通安全協会の略称。
アンパン
シンナーの隠語。ビニール袋を持って吸っている姿がアンパンを食べている姿に似ていたことが由来とされる。
イーピン
睡眠薬の隠語。
イカモノ
前科者。言葉の由来は「如何様物」を略した「如何物」で、普通とは違ってどうかと思われるもの、の意味。
イヌ
捜査機関や組織に侵入する密偵。スパイ。
一当(イットウ)
交通事故で一番の当事者。
入待ち(いりまち)
閉店前の店に隠れて閉店後に窃盗を働く手口。または住人の留守中に家屋へ侵入し、帰宅を待って襲いかかる手口。
ウかんむり
窃盗や窃盗犯のこと。または空き巣。
うさぎ
脱走犯のこと。「脱兎(だっと)」という言葉があるように、追われる者の意。
牛の爪(うしのつめ)
馬の爪の形状が割れていることから、犯人が判明していること。
うたう
容疑者が自白すること。当事者の証言。
馬の爪(うまのつめ)
馬の爪の形状が割れていないことから、犯人が判明していないこと。
裏(ウラ)
捜査や情報に確証を持たせるための根拠。「ウラを取る」とは間違いがないか確かめること。
絵(え)
「絵を描く」とは「計画を立てる」や「作戦を立てる」という意味。
S(エス)
スパイの頭文字を取ったもの。
FIS(Fingerprint Identification System)
警察庁の鑑識課に置かれている指紋識別システム。逮捕された者の指紋をデータ化し保存している。
エンコ
小指のこと。人形浄瑠璃の手を意味する猿猴(えんこう)という言葉を引用したとされる。
押し込み
侵入強盗のこと。
オシドリ
二人組のスリ。
落ちる(おちる)
自供すること。抵抗していた相手がこちらの指示に従うこと。
オブケ
警部のこと。裏社会の人間が警部を言い表す際に用いる隠語。
お札(おふだ)
警察手帳。または令状。
お宮(おみや)
迷宮入り。捜査が行き詰まった事件。
泳がせる
事件のカギとなる人物を逮捕せずに監視すること。泳がせ捜査などがある。
お礼参り(おれいまいり)
刑務所や勾留所などを出所した人からの報復、復讐。犯罪者が刑期を終えてから、密告者や警察官に仕返しをすること。

か〜こ行

外勤(がいきん)
地域警察官の旧称。反意語は内勤。
ガイシャ
被害者のこと。犯罪の被害にあった人物。
買い物師(かいものし)
万引き常習者のこと。
ガサ入れ
家宅捜査。強制捜査。
ガサ状
捜索令状のこと。
仮釈(かりしゃく)
仮釈放のこと。
ガセ
嘘の情報や、偽の証拠。言葉の由来は「人騒がせ」が変化したものとされる。
科捜研(かそうけん)
科学捜査研究所のこと。事件が発生した場合に、科学的な領域から捜査に協力する機関。業務上の領域は、法医学(生物科学)、心理学、物理学(工学)、化学などである。また高度な犯罪に対応するため、研究開発も行っている。
ガラ
身体のこと。身柄を取り押さえる、所在を明らかにする、などの文脈で用いられる。
空下(からさげ)
刑務所や留置所で出された食事を、食後に下げる状態のこと。
狩り(かり)
一斉検挙のこと。
完落ち(カンおち)
全面的に容疑を認めること。全てを自供すること。
管轄(かんかつ)
警察官が所属している署の担当区域。捜査の権限が及ぶ範囲。
鑑識(かんしき)
犯罪捜査において遺留品などの資料を科学的に調べること。現場で押収した証拠品を「鑑識にまわせ」などと言う。
鑑取り(かんどり)
被疑者または被害者の関係者をたどって聞き込むこと。
完黙(カンモク)
完全に黙秘すること。口をつぐんだ容疑者。
キャリア
国家公務員1種試験に合格して警察庁に採用された者の俗称。ノンキャリアとは違い、警察庁入庁時に警部補に任命され、将来の幹部候補としてエリート街道を進むことになる。
金筋(きんすじ)
警部以上の警察官のこと。袖章の階級表示に錦糸が入ることから。
緊逮(きんたい)
緊急逮捕の略。
緊配(きんぱい)
緊急配備の略。
ぐに
質のこと。質に入れることを「ぐにる」などと言う。
五二物(ぐにもん)
質草のこと。質に入れる担保を表す古い言葉。
蜘蛛(くも)
高層マンションに侵入する泥棒。
黒(クロ)
犯人と認定していい人物。無実が証明されれば「白」となる。
黒鬼(クロオニ)
死後から相当の時間が経った遺体。ミイラ化が進み白骨化寸前のものなど。
下足(ゲソ)
足跡。靴の溝跡。
下足痕(ゲソコン)
現場に残された足跡。
ゲソもん
暴力団に所属している人物のこと。
ケツ持ち
背後についている暴力団。トラブルがあった場合に後処理を担当する人物や組織。また暴走族の殿(しんがり)に位置してパトカーの追走を妨害する役目。
ゲロ
自白すること。黙秘していた口を割ること。
現検(げんけん)
現場検証のこと。
現逮(げんたい)
現行犯逮捕のこと。
現着(げんちゃく)
現場到着のこと。
公妨(こうぼう)
公務執行妨害のこと。刑法第95条にあたる。
コメヘン
精神異常者の関わる事案。精の字の部首を用いた隠語。
ゴンベン
詐欺事件。詐の字の部首を用いた隠語。

さ〜そ行

察庁(さっちょう)
警察庁のこと。
自首(じしゅ)
犯罪者が自ら警察に出頭して犯行を認めること。過失や事故であっても、裁判になった場合に自首した方が刑の軽減につながる。
サンズイ
汚職事件。汚の字の部首を用いた隠語。
失尾(しつび)
被疑者を尾行中に見失うこと。
シキテン
見張り。敷展が由来。
地取り(じどり)
犯行現場の周辺で、遺留品の捜索や聞き込みを行うこと。
シノギ
暴力団の資金源。反社会勢力が活動に必要な資金を継続的に得るための商売や仕組み。
島(シマ)
縄張り。主に同一の組織がシノギを稼いでいる区域。
殉職(じゅんしょく)
職務の遂行中に命を落とすこと。殉職した警察官は、通常二階級特進となり、当局で葬儀が行われる。
常習(じょうしゅう)
同種の犯罪を何度も行う者。スリや盗撮、薬物中毒者に多い。
所轄(しょかつ)
その地域の事件を管轄する警察署。
職質(しょくしつ)
職務質問のこと。「バンかけ」とも言う。
初動(しょどう)
事件が起こった際に、初期に行われる捜査。現場に急行した所轄署や機動捜査隊が、現場中心に任務を行う。
初犯(しょはん)
初めて犯罪を行い、明るみになったもの。前科のない者が最初に手を染めた犯罪。
白(シロ)
容疑が晴れた者。無実。
白鬼(シロオニ)
白骨化した遺体。
人台(じんだい)
被害者の情報、また被害者が遺した物。
スミ
刺青(いれずみ)のこと。暴力団関係者が入れる和彫の入れ墨。
前科(ぜんか)
罪を犯して刑罰を受けた履歴。
送検(そうけん)
容疑者または捜査書類や証拠品を警察から検察庁へ送ること。この時点では有罪が確定しているわけではない。

た〜と行

高飛び(たかとび)
国外逃亡。
タタキ
強盗。
タレ
被害届け。
タレコミ
協力的な情報。匿名筋からの提供、オフレコで記者や関係者が明かした内容。
チャカ
拳銃のこと。主に暴力団が所持している銃器。「弾き(ハジキ)」とも言われる。
チボ
関西地方の一部で見られる「スリ」の別称。
帳場(ちょうば)
事件ごとに置かれる捜査本部。「帳場が立つ」などと言う。
チョコ
非合法な樹脂を固めたもの。
デカ長
巡査部長の階級を持つ刑事。
デコスケ
裏社会の人間が警察を表す際に用いる隠語。制服の警察官が身に付ける帽子には額のあたりに紋章がついていることから、拳を額に当てて仲間内で合図を送ったことが由来とされる。言葉としては、制服を着た警察官に対して「マッポ」や「サツ」を使い、私服の警察官に対して使う模様。なお、一般人がこれを直接警察官に言うと怒られる。
特殊関係
被疑者と特別な交友関係のある人物。場合によっては愛人を表す。
飛ぶ(とぶ)
逃げること。被疑者や捜査対象が普段の行動範囲からいなくなること。捜査の及ばない国外へ逃亡した場合は「高飛び」となる。

な〜の行

内庁(ないちょう)
内閣情報調査室。内閣官房に置かれた情報調査機関。警察本庁とは別の思惑が働くため、時に捜査を進める上で対立する場合がある。
流し(ながし)
拠点や縄張りを持たずに移動しながら犯行に及ぶ者。または、たまたま通りかかったタクシー運転手などの目撃者。
ナシ割り
遺留品捜索。
縄(ナワ)
包囲網。警戒範囲。
縄打ち(ナワうち)
非常警戒。
ニンジン
赤色誘導灯。停止灯。
人着(にんちゃく)
犯人または被害者の人相や着衣のこと。
ニンベン
偽物。
ノビ
住居不法侵入。
ノンキャリア
高校や大学を卒業後、各都道府県が行う警察官採用試験に合格して採用された警察官。キャリアとは異なり、現場を通じて巡査から昇進を目指す。

は〜ほ行

半落ち(はんおち)
自供寸前なこと。
パクる
逮捕。連行すること。
ハコ
交番のこと。
弾き(ハジキ)
拳銃のこと。主に暴力団が所持している銃器。「チャカ」とも言われる。
バンかけ
職務質問。「こんばんわ」と声を掛けることから。
パンダ
パトカーのこと。白と黒に塗り分けられた車体の色から。
被疑者(ひぎしゃ)
犯罪の疑いを受けて捜査対象に当たる人物。起訴される前の容疑者。
123(ひゃくにじゅうさん)
職務質問の時などに使う照会センターの番号。
びろ
背広を着た人。サラリーマン。
フライパン
恐喝。カツアゲ。
ブンヤ
新聞記者。報道関係者。
別件(べっけん)
別件逮捕。ある犯罪の被疑者に対して、別の罪状を通じて身柄を拘束し、証拠や自供を得ようとする行為。
別荘(べっそう)
刑務所。刑務所行き。
ホシ
犯人。追い求めている星。
ホンボシ
真犯人。捜査を通じて明らかになった本命の星。
ポン引き
風俗関係の客引き、斡旋をする者。
ポンプ
主に覚せい剤を注入する注射器。

ま〜も行

前(マエ)
前科のこと。捜査の過程で被疑者が浮上した場合に「マエはあるか」などと確認する。
前足(マエアシ)
犯人が犯罪を実行する前の行動。
麻取(マトリ)
麻薬取締官のこと。違法な薬物の流通や取引を捜査し、警察等の組織と連携して取り締まる。厚生労働省の地方支分部局にあたる地方厚生局の職員である。
マル運(マルウン)
運転手のこと。
マル害(マルガイ)
被害者のこと。
マル参(マルサン)
参考人のこと。
マル消(マルショウ)
消防署のこと。
マル精(マルセイ)
精神異常者のこと。
マル走(マルソウ)
暴走族のこと。
マル査(マルソウ)
国税庁査察部のこと。
マル対(マルタイ)
身辺保護または身柄確保の対象者。または捜査機関による捜査の対象。
マル被(マルヒ)
被疑者のこと。
マル変(マルヘン)
変死体のこと。
マル暴(マルボウ)
暴力団。また暴力団担当刑事を指す場合もある。
マル目(マルモク)
目撃者のこと。
マルB(マルビー)
暴力団のこと。
マルG(マルジー)
極道者のこと。
マルX(マルエックス)
不審物のこと。
マンジュウ
死者、遺体のこと。
見当たり(みあたり)
指名手配犯を街で見つける捜査のこと。
ミンボー
民事介入暴力。
目(め)
目撃者。犯行現場を視認できる場所にいた人物。
メン
顔のこと。「面」からきている。
面割り(メンわり)
目撃者に対象の顔を確認させること。
モサ
スリのこと。特に腕の立つ常習犯。一部の地方では、これを捜査する係を通称「モサ」と呼ぶ場合がある。
物相(もっそう)
刑務所や留置所で出される食事を入れる器のこと。
紋(モン)
指紋のこと。指紋を取る行為を「モン取り」などと言う。
モンモン
刺青(いれずみ)のこと。暴力団関係者が入れる和彫の入れ墨。

や〜よ行

ヤサ
捜査対象者の家や住居のこと。被疑者が身を寄せる隠れ蓑やホテルの場合もある。
ヤマ
事件。または事件解決となる重要な時期。
ヤマ見
犯行現場の下見。
ユミヘン
強姦。強の字の部首を用いた隠語。
ヨコ
横領のこと。

ら〜ろ行

ラジオ
無銭飲食の隠語。「無線」にかけた語呂合わせ。
留(ルイ)
遺留品のこと。
累犯(るいはん)
何度も同じ犯罪を繰り返すこと。
レツ
共犯者。犯人の連れ。
レンコン
リボルバー式の拳銃。シリンダーの形状から。
ロク
遺体のこと。南無阿弥陀仏の名号から。

わ〜ん行

ワッパ
手錠。
割る(わる)
自白を取る。または、素性や顔を明らかにすること。
割れる(われる)
不明だったものが明らかになること。バレる。