歌うと死ぬ歌「トミノの地獄」

怖い話には「○○をすると死ぬ」という題材がよく登場する。都市伝説に限らず、ホラー小説や映画でも度々テーマになる要素だ。

『リング』や『伝染歌』といった作品が有名だが、歌うと死ぬ歌、つまり「呪い歌」のモデルが実際に存在するのをご存じだろうか。

それは、大正時代から昭和初期にかけて活躍した作家、西條八十の詩集「砂金」の一節、「トミノの地獄」である。

ある本の中では、この歌の一節を「心の中で読むなら良いが、朗読してしまうと凶事がおこる」と紹介されており、昔からこの詩に関する噂は存在していたようだ。

内容はトミノという少年が地獄を旅するというもので、これは西條が亡くなった父もしくは妹に奉げるために書いたとされるが、詳細は不明のままだ。

 

注意

言葉とは、それだけで力を持つものである。ある言葉を聞くと、気分が悪くなったり、体調を崩す者さえいる。時に言葉は、潜在意識の深い部分に残り続け、その人の人格形成に影響を及ぼす。信じるか信じないかは別として、この詩を朗読する事や無闇に転送することは絶対に避けて頂きたい。

 

 

 

トミノの地獄

姉は血を吐く、いもとは火吐く
可愛いトミノは宝玉たまを吐く。
ひとり地獄に落ちゆくトミノ、地獄くらやみ花も無き。
むちで叩くはトミノの姉か、むち朱総しゅふさが気にかかる。
叩けや叩きやれ叩かずとても、無間地獄はひとつみち。
暗い地獄へ案内あないをたのむ、金の羊に、鶯に。
皮のふくろにやいくらほど入れよ、無間地獄の旅支度。

春が来てそろ林に谿たにに、暗い地獄谷七曲り。
かごにや鶯、車にや羊、可愛いトミノの眼にや涙。
啼けよ、鶯、林の雨に妹恋しと声かぎり。

啼けば反響こだまが地獄にひびき、狐牡丹の花がさく。
地獄七山七谿めぐる、可愛いトミノのひとり旅。

地獄ござらばもて来てたもれ、針の御山おやま留針とめばりを。
赤い留針だてにはささぬ、可愛いトミノのめじるしに。

 

 

 

暗闇から見つめる視線

目録