メリーさんの電話

ある女性が引越しをする時になって、子供の頃から持っていた人形を「もう大分古くなってしまったから」という理由で捨てることにした。

引越し先に着いた当日、深夜に電話が鳴った。

その電話に出ると「あたしメリーさん。今ゴミ捨て場にいるの」という声が聞こえた。

間違い電話だと思って電話を切ると、再びかってきて「あたしメリーさん。今タバコ屋さんの角にいるの」と言った。

そして遂に「あたしメリーさん。今あなたの家の前にいるの」という電話が掛かってきた。

女性は思い切って玄関のドアを開けたが、誰もいなかった。やはり誰かのいたずらかと思って部屋に戻ると、また電話が鳴っていた。

彼女は電話に出るかどうか、ためらった。

恐る恐る手を伸ばし、通話ボタンを押した。

 

 

「あたしメリーさん。今あなたの後ろにいるの」

 

 

暗闇から見つめる視線

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