札幌市青少年山の家
北海道であった話。
とある六人の大学生が、サークルで泊りがけの合宿をした。
彼らは夜になって「きもだめし」をすることになった。
AくんとBくんが、お化けの役をすることになり、二人は一緒に物陰に隠れた。
そして、残りの4人がやってきた。
「ゆるさない……ゆるさない……でてけ……おまえらでてけ……」
Aくんは、そうつぶやき始めた。
それは、老人のように枯れた声だった。
BくんはAくんのあまりの凄さに「おまえすごい演技力だなあ」と言った。
するとAくんは、妙なものでも見るような目つきでBくんを見返した。
「なに言ってんだ? 俺なんもしてねえよ。面倒いから部屋で寝てた」
Bくんは普通に怒って、しばらく言い争いになった。
翌朝、Aくんは誰かの笑い声で目覚めた。
まだ誰も起きていない時間だった。Aくんは不思議に思い、部屋の戸の隙間から廊下を覗いた。
すると、見てはいけない光景を目撃する。
一人の兵隊が一人の赤ん坊を殺しているところだった。
見ると、それは日本兵で、顔が半分なく、右足も失われているのだった。
兵士は「ひひひひひ」と笑いながら、刀で赤ん坊を殺していた。
Aくんは、思わず「あっ」と声を上げた。
すると兵隊がAくんの方へ向き、にたり、と笑った。
その兵士は、戦時中に徴兵されたものの、気が弱く人を殺したくないため、滝野に逃げてきた人物だった。
しかし、最後には見つかってしまい、顔と足を撃たれて死亡したというのだ。
その霊が現れたのだろうか。
Aくんの証言はここまでである。