歩くマリア像

仙台にある某学校では、夜になるとマリア像が歩くと言う噂がある。

戦時中は空襲に焼かれて、後に再建された校舎などもあり、その中には校舎の横に併設された教会やマリア像などもあった。

昭和の時代は、戦後復興から経済成長まで目まぐるしく変化しており、様々な事件や災厄が怪異現象と結びついて語られる時期であった。

そのため、雨が降ってぬかるんだ校庭に何かを引きずった跡があったり、マリア像の手前に足跡が残されていれば、それがすなわち人間が見ていない間に像が動いたのだという憶測を呼んだ。

特に怖いもの好きの女学生などは、この手の話題に尾ひれをつけて伝聞した。

そして彼女たちは、この話にオチをつけた。

動き出したマリア像は、必ず転ぶので、地面に顔の跡が残っているという。

 

 

暗闇から見つめる視線

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