瀕死の呼びかけ

私は事故で瀕死になった事があります。

どれぐらい意識を失っていたのか分かりません。

救急車の中だったか病院のベットの上で寝ている時に、夢を見たんです。

死んだ祖父、祖母、親戚や歴史上の人物が出でくる夢でした。

トンネルのような場所に人の顔が埋め込まれていました。

アーチ状の壁から天井まで無数の顔がひしめいています。

そこを歩いていると、奥の方に光が見えました。

わたしは夢中でそちらの方に歩いていきました。

出口が近づいてくると、物凄くたくましい人が二人立っていました。

わたしはそっち側に行かせてくれと頼みました。

するとたくましい人は、あなたはまだこちらに来てはいけない、と言いました。

わたしはなんでいけないんですか、そっちのほうがたのしそうじゃないですか、と言いました。

たくましいひとは、そこまでいきたいならかってにいきなさい、といいました。

そしてわたしはやっとあかるいところにいけるとおもいました。

その時、うしろのほうからいかないでという声がしました。

わたしは少しとまどいました。

後ろから様々な声が飛び交いましたが、一様に行ってはいけない的なことを口にしているのです。

私は決めました。

後方の声を頼りに暗闇に向かって走り出しました。

 

 

その瞬間。

 

 

病院で私は意識を取り戻したのです。

周りを見渡すと、家族が泣きながら私を呼んでいました。

家族が呼んでいなければ、私は死んでいたと思います。

 

 

暗闇から見つめる視線

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