カシマレイコ
カシマレイコという名前を聞いたことがあるだろうか。
その昔、カシマさま、鹿島大明神、仮死魔霊子として語られた伝承の一つだ。
彼女は戦時中、あるいは大戦直後の時代に生きた人物だというのが一般的な説だ。
なぜなら、カシマレイコにまつわる凄惨なエピソードには、その時代特有の問題が含まれているからだ。
一説によると、カシマレイコは戦時中に米兵に両手両足を撃たれ、苦しみ抜いて死んだ郵便配達員だと言われている。あるいは終戦直後の混乱期に、米兵に強姦されたあげくに両手両足を撃たれた、というものもある。
いずれにせよ、彼女はそれを苦にして列車に身を投げて自殺した。
その時、両手両足が切断されてばらばらの遺体となって発見されたのである。
この逸話を聞いてしまった者には、後日、謎の電話や悪夢が訪れると言われている。
その人物は、あなたに問いかける。
「手をよこせ」あるいは「足をよこせ」と。
あなたはこう答えなければいけない。
「手をよこせ」と言われたら「いま使っています」。
「足をよこせ」と言われたら「いま必要です」。
もし「その話を誰から聞いた」と聞かれたら「カシマレイコです」と答える。
成功すれば何も起こらない。失敗すると手か足を奪われてしまうそうだ。
この伝承がなぜ学校に関係するのか。
いつの頃からか、学校のトイレに謎の幽霊が出没するという噂が立った。
学校のトイレに夜一人で入ると、両手両足のない女性の幽霊が現れるというのだ。
幽霊は深夜にトイレに入ってきた者に対して、こんな質問をしてくる。
「私の足は何処にありますか」
この質問に対して「名神高速道路にあります」と答えなければいけない。
さらに彼女は「誰に聞いたのですか」と質問してくる。
その時「カシマレイコさんに聞きました」と答えれば、何も起こらないとされている。
もし答え方を間違えてしまうと、両足を抜かれてしまうそうだ。
カシマレイコという名前は、かつて日本中で噂になった「口裂け女」の本名だという説がある。
彼女の亡霊は生き続けているのかもしれない。
それにまつわる言説が今も語り継がれているように。