桜餅はアイデア食品

桜の葉でくるんだ桜餅(さくらもち)は、江戸向島の長命寺というお寺で生まれたものです。

長命寺の門番・山本新六が、向島堤にある桜の葉が沢山散るのを見て、もったいないと思い、醤油樽を使って塩漬けにしたのが始まりとされています。

出来上がったものを売ってみたところ、買う人が沢山いたため、次にその葉で餅をくるんで売り出すと、大当たり。これは当初、墓参りの人をもてなすために用意した手製の菓子だったそうです。

そして享保二年(1717年)、将軍吉宗の台命により側傍の隅田川沿いに北から南へと桜木の植栽が行われました。これを機に、毎年桜の名所として賑わうようになった場所で、同時に花見客に喜ばる食べ物として発展していったのです。

桜餅一つの値段は、現在の価格にするとおよそ63円だったそうです。この金額は米の価値がら推定した値段で、労働者の賃金から換算すると約300円もしたそうです。

それでも売れたのだから、桜の葉で餅を包むというアイデアはヒット商品の要と言えるでしょう。