西郷隆盛の顔

犬を連れた銅像で有名な西郷隆盛。なんの疑いもなくあの顔を西郷隆盛と思っている人は多いでしょう。

ところが、明治32年の除幕式の際、列席していた綿子夫人は「こげん人じゃなか!」と言ったとか。

この発言、当時の士族の服装についてだったとか、顔が違うという意味だったとか言われていますが……

この銅像を作ったのは高村光雲。西郷本人に会ったことはなく、イタリア人のキヨソネという人物が書いた肖像画を元にして製作しました。

ところがこの肖像画も、親族が西郷の肖像画欲しいとのことで、身内に聞いた話を基に作られたモンタージュ写真のようなものでした。

肖像画はこれ以外にも残っていますが、死後に描かれたもので、実際はどうなのかわかっていません。

では写真はどうでしょう。写真を撮らせたことはない、と言われていますが、西郷が写っているという写真はあります。

口ひげを生やしてフロックコートを着た写真が見つかっていますが、これは西郷軍の部下の永山弥一郎という人物の写真とも言われています。

当時、明治の元勲の写真が売られ人気がありました。誰も西郷の顔を知らないので、永山の写真が本物として出回ったらしいのです。

歴史の教科書にも出てくる、銅像にもなった、そんな有名な人物の顔が謎のままとは不思議な話ですね。