殺人映画

1990年代中期、レンタルビデオ店が物凄い勢いで増加し、誰もが気軽に映画を観られるようになった時代に、ある噂が流れた。

一部のマニアの間で流行っていた、グロテスクな表現を中心に描いた作品の中に、実際に人を殺したシーンが収められているというのだ。

「スナッフ」の登場である。

この映画は1974年にアメリカのモナークという映画会社が、フィンドレイ夫婦(マイケル/ロバータ)に製作依頼をして、作られたものだ。

当初「ポルノ風」映画を作るはずであったが、出来上がった作品は、とても上映出来る代物ではなかった。

結果、倉庫に永久保存されることになる。

しかし、その後マフィアが撮った本物の殺人映画が「闇取引」されているとの噂がアメリカで流行すると、これに目をつけたモナークの社長が、後半4分間の殺人風シーンを撮影、永久保存されていた原本の巻末に付け足して映画化することにしたのだ。

これが「スナッフ」の真相である。

今見ると作り物感丸出しでどうにも面白くないのだが、プロモーション効果が大きかったためにヒットしたようだ。

一時期、日本映画の「ギニーピッグ」シリーズが話題になったが、こちらはかなりエグい内容になっている。

そのような玉石混交のビデオマーケットで、本物が紛れているかもしれないという噂は、マニアでなくとも惹かれるものがあった。

 

 

暗闇から見つめる視線

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